はいからさんが通れた奇跡。
ようやく訪れた9月5日…。何故だろう…この日が来ることを恐れていました。というより
果たして本当に千秋楽はやってくるのだろうか?
そう思っていたからです。度重なる延期に伴い中止。どこかで観れたらラッキーと思うしかなかった。観れなかったら仕方がない。宝塚ファンをしていて自分の都合ではなく劇団の都合で観れなくなるなんて非常事態に遭遇したのはこの新型ウィルスの案件が初めてだった。目に見えないウィルスにこんなにも社会が人々がそして我々が心乱される時代が訪れようとは夢にも思っていなかった。
寄りによって贔屓のお披露目公演という最大イベント最中だというのに勘弁してくれコロナめ!!!
という憎しみも最後のれいちゃんの美しい涙で全部チャラです。全て浄化されました。
だって…だって…あまりにも清く美しく儚くて…私…私…
柚香様に全てを捧げる決意をしました!もう出家したいくらいです!
これほどまでにオンナを狂わす柚香様はやはり罪なお方…。
前置きが長くなりました。荒ぶりました。失礼しました。
はいからさんが通る、私は公演中止期間に観劇予定だったため生で観ることが叶わなく初日映像以来のはいからさんが通るでした。しかしあの長い空白の期間がありながら千秋楽の公演は
まるで別物の公演を観たのではないかと思うほど変わっていて(演出の変更は抜きに)出演者一人一人の熱量、更に気迫、ずっと溜め込んでいた想いが爆発したような…そんな並々ならぬものを感じました。
こんなに人と人の感情が豊かに交差しぶつかり合いまるで本当にその時代に生きているかのようなそんなリアリティを体感しました。
みんなの魂が各々の役に生きここまで深く芝居を掘り下げられるのは〝練習時間〟がたくさんあっただけではないような…そんな気がします。
れいちゃんの少尉がより一層寂しげな出で立ちで何かに満ち足りず何かに飢えて何かを探し求めながら生きているように見えた。それが本来の少尉の在り方だったのだろうか。少尉の心の蟠り、儚さや脆さが散りばめられて何故だかその弱さがより一層柚香少尉を強く光らせていた。
そしてその少尉を愛しいまでも拗らせてゆく華ちゃんの紅緒さん。華ちゃんの紅緒さんにしかあの柚香少尉は成り立たない。紅緒さんは何があっても決してブレることがない。あまりにも強い信念を貫きあの世界に存在している。少尉が彼女に惹かれ、彼女によって生かされ、変わっていくその様が明確に且つ非常に滑らかな流れで伝わった。それだけ人を惹きつけて病まないパワーが華ちゃんの紅緒さんには内在していた。あれだけの膨大なエネルギーを発散出来る娘役さんが居るかと言われたら正直私はパッと思い浮かばない…
宝塚における恋愛芝居でどうしてこの人にそこまで惹かれたのだろう?とかいつこの2人はそういう関係になったのだろう?と時々頭ん中にハテナが浮かんでしまう時があるのですが…
れいちゃんとはなちゃんの恋愛芝居は何故かわからないけれどお互いが強く惹かれあって求め合っていることに〝演じている〟感が全く無くて実に〝普通〟なんです。
それは前回のはいからさんの時もそうでしたし、ポーの一族の時も、シャルムのレジスタンスの場面もそうだった。
ショーのたった一場面だけで台詞も無いのに恋愛物語を成立させてしまう。この二人は相手との呼吸の取り方とか相手の気持ちを汲む配慮とか役を演じる云々の前にもっと人間としての根底にあるモノを大切にしているのかなと感じました。
自分の感情で動くのではなく相手の感情に自分の感情を重ねていきながら役を作り上げていく。
まさに相手役至上主義なコンビ。
それでいてただ受け身芝居なわけでなくお互いがちゃんと自立して舞台に存在している。
この二人が宝塚のトップコンビとして強いか弱いかという判断基準を仮にもするならばれいはなコンビは極めて弱いコンビと言われるかもしれない。
でもそれは2人のパワーの出し方が〝非常に繊細で優しく研ぎ澄まされている〟故で、エネルギーの粒子が細かく散りばめられて星が大量に空間をキラキラと舞っているような…そんなイメージなのです。
だからこそ胸の奥底にじんわりと遺すモノがあり見る人の心を捉えて離さない不思議な力がある。
れいはなコンビのちょっと神秘にも似た言葉では到底語ることの出来ないような魅力に今回のはいからさんが通るを観てより一層感じました。
そして最後のれいちゃんの涙涙の挨拶に
ファン全員が嗚咽でしたね…。
れいちゃんの紡ぐ言葉の一つ一つは何故もあんなに美しく清らかで胸に突き刺さるのか…
心の底から湧き出るモノを大切に噛みしめながらお話する柚香さんの姿があまりにも優しく美しくて…
こんなにまでも柚香光という存在が好きで好きで仕方が無くてどうしようもなくなった日はありませんでした…。
どうか…東京公演は…お願いだから少尉を泣かせないでほしい…。
屈託の無いあの可愛い笑顔で最後まで突っ走ってほしい…。